オランダあるあるの一つに、「簡単に謝罪をしない」というものがあります。日本人にはなかなか理解できない文化の一つで、未だにこれに苦労することもしばしばです。
日本人にとってみれば、「すみません」や「ごめんなさい」は、単に謝罪を述べるものではなく、謙遜や挨拶であったり、場合によっては感謝の気持ちを表すスーパー基本挨拶です。その一言があるから、日本人の私達は穏便に、思いやりを持って、スムーズにコミュニケーションがとれるものだと思っています。
一方、ヨーロッパでは主張されなければその意見は存在しないものとされるぐらい、自分の意見を主張することに重きを置かれていることが多いです。特にアジア人はなめれらがちなので、キッパリと使える姿勢が求められていると思います。簡単に謝罪することは敗北を意味します(笑)
じゃあヨーロッパ全体がそんななのか?というとやっぱり国によって差があることもオランダに住んでいて感じます。イギリス、ドイツ、ベルギー、フランスと周辺国のヨーロピアンからしても、オランダ人の謝罪しない様子は際立っているようです。それはそれで凄い(笑)これはあくまでも個人の感想なので、どの国にも色んな方はいると思います。
(年に一回の小学校の遠足に付き添いで行った時の一コマ。)
日本人からすると一癖あるこの文化が絡む事件が、私たち親子にも起こりました。
以前、娘が学校の休み時間に重たい大きな扉に指を挟んでしまったことがありました。先生から指が骨折しているかもしれない、急いで迎えにきて欲しいと電話が入り、学校へ迎えにいくと、ワンピースから靴まで血塗れの娘。
急いでホームドクターに救急だと連絡を入れて帰り道にそのまま寄ってみてもらいました。そこで総合病院でのレントゲン検査の予約を入れてもらい、またそのまま近くの総合病院へ向かいます。
レントゲンの結果は、骨には異常が無かったため、一安心して家に帰りました。しかし娘の話をよくよく聞いてみると、どうやら友達3人が扉を閉めた為に、娘の指が挟まれてしまっていたようで、加えて友達誰一人からも、謝ってもらってないとのことでした。
かなりびっくりしたのですが、謝罪が無く娘もとてもショックを受けているということを怪我の状況と共に担任の先生に連絡をしました。
そうするとまず先生からの回答としては、
「子ども達へ何が危険で、今後再発しない為にはどうするべきかということを周知するのを第一優先した」という回答で(つまり謝ることは促してませんよという意味です)明日には当事者の子ども達に謝罪について伝えると返事が来ました。やっぱり合理的に考える国民性なんですね、と同時に、こうやって大人になれば、謝罪というのはそこまで意思伝達では重要視されなくなるにも頷けます。それがいいか悪いかはその土地の文化と個人の好みになてしまうかもしれませんね。
さて、そうこうしているうちに扉を閉めた友人達3名の母親からそれぞれメッセージが私のところへ入っていました。それぞれの回答もまた日本とは違って興味深いものがありました。
1人目:出身は不明だけど、オランダ語が上手なママさん
怪我を心配するメッセージをシンプルに。謝罪はありませんでした。
2人目:たぶんオランダ人のママさん
娘はそれが事故だったと言っている。怪我は大丈夫?とメッセージ。謝罪がなく、むしろ事故を強調されました。多分悪気があるとかではなく、こう言ったやり取りはオランダだと普通なんだろうなと思います。
3人目:アメリカ出身のママさん
怪我は大丈夫?と共に謝罪のメッセージ!ちなみにこちらのママさんは10年以上東京に住んで子育てもしたことのある、日本語も少し話せるママさん。日本人の感覚に近いんでしょうね。
ということで結果はこんな感じで、なかなか日本では経験できないと思いませんか?これは二人に謝ってもらえなくムカついたという話ではなく、やはり海外に住んで子どもが育っていくということはこうした文化の中で揉まれていくということに他ならないんだと痛感させられた事件でした。
その翌日、娘は骨折もなかったので、学校へ行き、友人達からも謝ってもらいまたすぐに仲良く遊べていたということでこの事件はおさまりました。
その土地の文化にならうことも大切ですし、一方で自分達が不快な気持ちを味わった時は臆せず伝えてみることで広がる経験もあると思います。オランダの生活の一部として、参考になったら幸いです。
*最後までお読み頂きありがとうございました*
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